「つむちゃん、1回保健室に――」

「保健室に行くのは、恋衣ちゃんの方です。
先生には私から伝えますから、行ってくださいっ」

私は「大丈夫だから」なんて言えなくて、頷いた。

理科の授業は、つむちゃんにまかせよう。

そう思って教室を出た。

授業前5分なのに、廊下は人でごったがえしている。

その中に、千尋と早苗ちゃんの姿を見つけた。

トイレに行くそぶりを見せて2人に気づかれないよう、横を通り抜けた時。

「聞いた?
コハちゃん、恋衣っちにはぶかれてるんだってね」

早苗ちゃんの声がした。

「うん、聞いた聞いた。
心暖に相談されててさー。
早苗も?」

「うん、そうなの。
早苗も相談されてたから、その2人が気になっちゃって。
コハちゃん守らないとね」

うそでしょ⋯?

私は涙を堪えて2人の横を通った。

「コハちゃん守らないとね」って…私が悪者みたいじゃん⋯。