小学生の頃から住み始めたこのマンションにももう慣れた。

「はなびら、おはよ」

…こうやって何かと私を気にかけてくれる幼なじみにももう慣れた。

「…はなびら?」

「んー、朝は眠いねぇ、多綺」

「…お前な、その前に挨拶くらいしろよ」

「んー、ごめん、忘れてた」

「…はぁ」

「では、改めまして、おはよーございます、」
 
ただひとつ、慣れられないのはあの人がいなくなってしまったこの気持ちだけ。

でも、それをあなたにぶつけるのはまちがいだよね、

「茅ヶ崎 多綺くん。」