何か思い出しているようで、ぼーっとしているあかず。

その手はだらんとしている。

逃げるなら、今だ。

ちょっと下がったところにある扉に向かって走ろうと振り向くと、視線がガクッと下がった。

「いって……」

思いっきり打った顔をさすりながら顔を上げる。

「なんだよフシギ……なんで邪魔するんだよっ」

「だって獲物が減るなんて嫌じゃない?」