ドレスで思い出したけれど、返さなきゃな。

授業終わったら、いつ返していいか聞いてみよう。


そう決めて、その後も授業に取り組んだのだった。


そして休み時間。


「綾人く——」

「きゃー!綾人くん、すごくかっこいいね!」

「本当本当!」


話しかけようとすると、綾人くんは女子たちに囲まれてしまっていて、声が届かなかった。


また後ででいっか……。

と、1人ボーッとしていると……。


「千幸」


後ろから忍くんに名前を呼ばれる。


「どうしたの?」


嬉しくて、ついにっこりしながらそう返事をした。


「っ……、消しゴム、ありがとう。やっぱり見たかったから返すよ」

「それはよかった!また何かあったら言ってね」

「うん」


少し頬を赤らめた忍くんに、消しゴムを渡される。