「困ったな,ありす……可愛すぎて,ここにずっと閉じ込めてしまいたくなる。いつになく,積極的だね,ありす」



だって……



「だって,榛名くんが言ったんじゃない。イチャイチャするって……甘えてもいいってことじゃ……ないの?」

「……ううん,あってるよ,ありす」



榛名くんがそっと大きな手のひらを私の頬に触れて,愛おしげに見つめる。

私も,あんな目で榛名くんを見てること,あるんだろうか。

じんわり伝わってくる,榛名くんの体温。

私は自分からも榛名くんの手のひらの方へ,首を傾けた。



「……」



そっと近寄ってくる榛名くんの顔。

え……これって……

迷うだけの時間はある。

それくらい,優しいゆっくりとした動作だった。



『えっ,もうすぐ3ヶ月終わるって……! 有栖それでキスもまだとか……正気?!』



バチンと脳裏をかける,すずちゃんの声。

目の前に迫る,綺麗な顔……唇。

お願いします……っ!

神様へなのか,榛名くんへなのか。

私はそう胸に叫びどきどきとしながら……

ぎゅうっと,目を瞑った。

自分の,意思で。

─コンコン