手紙に気付くのも遅れてしまって,急ぎじゃないかと慌てたのもあって。
いなかったものだから,何も言わずにいなくなってしまったのよね。
クラスメートに言付けくらい頼んでおけば良かった。
普段自分から話しかけたりなんて事があんまり無いから,考えもつかなかった。
気持ち急ぎ足でクラスに向かうと,紗ちゃんは直ぐに私を見つけて,笑いながら寄ってきてくれる。
有村 紗。
幼稚園の頃からの付き合いで,私とは似ても似つかないボーイッシュな女の子。
快活で,ハッキリした性格。
いつだって髪の毛はショートで,白と黒が良く似合い,とても大人っぽい。
「ごめんね,私……!」
「あら,いいのよ有栖。私,わざとここから外していたんだもの」
ー告白だったんでしょ? 坂本くんからの
こっそりと潜められた声に,私は静かにかおを赤らめて,こくりと1つ頷いた。
「じゃ,じゃあCDを借りたいって言うのは……」
「ぜーんぶ嘘よ。あ,でも。ついでに借りてたCDを返しては来たわ」
やっぱり彼女には敵わない。
「紗ちゃんってば……どうして知っていたの?」