有栖side





「来栖さん,もし用事がないようだったら,一緒に帰ろう」



緊張ぎみに誘われて,私は紗ちゃんを見た。

紗ちゃんはぱちりとする私を見ると,呆れたようにため息をはいて。



「有栖の好きにしたらいいのよ。私,どのみち食べたいと思ってたお菓子があるの,怒りゃしないわ」

「えっと……じゃあ……ごめんね,紗ちゃん」

「はいはい,気にしすぎなのよ,あなた。今度は一緒にケーキでも食べに行こうね」

「っあはは,きっと! じゃあ,帰りましょう,甚平くん」




私,あなたに言わなくちゃいけないことがあるの。