「いいわよ,いいに決まってるわ。これは有栖の問題なんだから。それに,そうね,あなたのいう通りよ,過去は変えられない」
「なら……!」
「でも未来は変えられるわ。それに何故,被害だというそれを受けたわけでもない第三者のあなたが榛名くんを否定するというの? その被害者とやらも,お互い様でしょう」
ふるふると震える甚平。
言いすぎたかしらと考えるも,直ぐに打ち消す。
ここで折れるなら,この人はこの人じゃなかっただろう。
「す……有村さんも来栖さんとおんなじ事を言うんだな。理解できない。あいつは,他人の恋心を弄んで……!」
「だから,その対価が榛名くんの側にいることだったんでしょ? 彼女らが自分で選んだことよ」
「そうするしか無かったからだ! しかも,来るもの去るもの拒まずだけじゃなく,飽きたら『もういい』だぞ?! 正気の沙汰じゃない!」
「それも折り込み済みの契約でしょ? 彼女らの選択は,あなたが有栖のそばにいるために友達なんてポーズで良い顔してるのと一緒」
「……そんなわけ……!!!」
それを言われると,弱い,ね。
分かってるんだわきっと。
自分が使えるもの全てを,善い顔で利用してること。
確かに,それでもと希望を持ち泣き崩れた女の子を不憫と思わないこともない。
恋心をとめるなんて,よっぽど無理だもの。
でもね,それは彼女たちの問題で,身勝手に甚平が怒ることじゃないの。
しかも,それを都合よく利用しようなんて,寧ろ彼女たちにあんまり失礼よ。