「今まで沢山の人が榛名くんに集まってきたかもしれないけど,お義母さんを受け入れるべきだと思うことがあったかもしれないけど」
ー榛名くんは,まだ,ただの高校生だよ。
そんなに何もかも,守って,傷付けて,諦めなくったっていいの。
「何でありすが泣きそうなの」
「泣いてないわ,私」
嘘よ,あなたの気持ちが痛くって。
私の心が今にも泣き出しそうなの。
悲しい,榛名くんが,哀しい。
あぁ,私……
ようやく気付いたわ。
榛名くんが私を遠ざける度,近づけてくれる度。
こんなに簡単に痛んでしまう私の心。
最近はプリンだったのかしらと思うくらい,簡単に揺れ動いたの。
私……
この人の特別になりたいのね……
すとんと落ちた事実に胸が高鳴って,私はつい口を両手の指先で覆った。
私,私……やっぱり……そうなのね?