俺の突然のその感情に,両親は恐怖したような顔つきになった。

そして,次の秒には分かったと一言落として。

父親はソファーへ,義母は夕飯の支度をしに動いた。

俺は一日中,何もかも手放したような気持ちで,ただ俺を抱き締めた(ひと)の体温がとても温かかった事だけを思い出していた。

そしてこの学校へ上がってくると,また沢山の女が寄ってきた。

理由は様々でも,皆望むものはおんなじだった。

既に経験を終えていた俺には,もうそれ以上はなんでもなくて。

何人ものひとを,何度も抱いて,何度だって寝た。

それでも,どのひとを相手にしても。

どうしても行為中に吐き気に襲われる日がやって来て,その度そのひととは縁を切った。

柔らかい身体に抱き締められ,すがられ。

その瞬間以上の物を,誰も与えてはくれなかったよ,ありす。

それでも俺にはそれしかなくて,根本のところの間違いをずるずると引きずったまま,そうゆう時を過ごしてきた。

2年に上がると,どうやら俺はまた1段と周囲の望む見た目体つきになったとかで。

まだまだ未熟だとかで。

より人が集まった。

年下でも変わらず女だったその人達も,何度も散らした。

刺されたって構わないと。

そう思っていた。

義母を誘惑してやろうかと考えたこともあったし。

靡いてくれたなら,それを理由に追い出してやろうとも思った。

でも,出来なかった。

あの父親の顔を見ていると,どうにもそんな真似は出来なかった。