俺の望まない形だったとしても,それでも似た境遇の2人が出逢ったのは『運命』だと言った。

手に入らないものを望む可哀想な物同士『慰めあえる』と。

そう2人と強調しながら,彼女は確かに『自分』に酔っていた。

俺がいよいよ気味悪がった時。

彼女はぎゅっと,優しく俺を抱き締めた。

その時,俺の中で何かがぷつりと切れて。

全てがどうでも良いように思えて。

彼女のすること全てを受け入れて,ただ,抱かれていた。

そして全てが終わったあと,猛烈な吐き気に襲われて,まず彼女を家から追い出した。

狂ったようにどうしてと問い詰めた彼女も,次は通報·告発すると脅しをかけると,食い下がることなく直ぐに大人しく帰宅していった。

彼女にとってみても,俺はそれだけの存在だったんだよありす。

次に洗濯を回した。

服もシーツも,彼女が触れた全ての布を。

自身もシャワーを浴びてあがると,両親が帰宅していた。

風呂で聞いていた音からして,恐らく父のが少しはやかった。

1人あれこれ行っていた俺を,2人はどうかしたのかと心配した。

家庭教師はやめると言うと,義母は言葉を選ぶように困り,父が先に口を開いた。



『受験の為だったんだろ? 何も今やめなくったって』



受験当日まで,残り2ヶ月も無かった。

せっかく続けて来たのにと,言いたいことは分かった。

けれど,それでも俺は憤りを露にしてしまったんだ,ありす。