甚平くんが私に何かを言いたそうにしていたのは分かってた。

だけどあんまり私がとろいから,また教室に戻る時には片付けが終わっていなくて。

他にも何人かいたのだけど,そこでは話せないと判断したのか,甚平くんは私をじっと見た後で教室へ向かってしまった。

放課後には甚平くんは人に囲まれて笑っており,話しかけてでも優先して聞こうと思っていたのに……

帰ろうと紗ちゃんに声をかけられたまま,私は全てをすっかり忘れて,早々と帰宅してしまった。