お昼休みが終わると,次はまた移動の教科だった。

榛名くんと長く過ごしてしまったために,移動のためには時間が少ない。

榛名くんの方は大丈夫かしら。

ううん,大丈夫よ,彼運動神経バツグンだもの。

それより自分の事よ,ありす。

どうして時間割りを覚えておかなかったのかしら。



「あっ来栖さん! 君,どこでお昼食べてたんだ!! 探し回ったのに,全然……っ」

「あら,甚平くん!? ごめんね,今ちょっと慌ててて……! お手洗いにも行きたいの……!」



次のお休みまでなんて,我慢できそうにないの。

ぐっと一瞬言葉を止めた彼に,私は分かってねと心で謝りながら,トイレへと歩を進めた。

手を洗い,トイレを出る。

甚平くんは先生や友達にでも引っ張られたのか,もういなかった。

大人しく連れていかれたなら,まだ大丈夫だったのよね……?

探し回ったって,言ったかしら。

どうかしたのかな……