次の日も学校に行ってじんのとご飯を食べて寝かしつけた後、
あの公園に行く。

シルさんは来ない。

また1時過ぎに家に帰る。

この繰り返しを何日続けたのだろうか。

(今日も行こう………)

「じょう、おまえ顔色悪いぞ。
 寝不足か?体調悪いのか?」
学校の1限目と2限目の間に
コウヘイが心配そうに声を掛けてくる。

「大丈夫、ちょっと疲れてるだけだから」

「じんのちゃん大変なのか?」

「いや、じんのは大丈夫。
 気にするな、コウヘイ、問題ないから」

コウヘイは心配そうに席を離れる。

昼休み、寝不足で眠たくて机で眠ってしまう。

「じょうくん、、、じょうくん」

かすかに声が聞こえてくる。

頭を上げるとくるみが目の前にいた。

「おう、どうした?くるみ」

「最近いつもと顔の表情が違うから心配になって……」

「きにしなくていいよ。ちょっと疲れてるだけだから」

「私と別れたのと何か関係ある?
 私と別れてから今まで見たことない
 切羽詰まったような顔をしてるから」

「本当に大丈夫だって。
 でもそんなに心配に見えるなら午後から
 保健室で寝てくるかな」

「じょうくん、もう彼女じゃないけどなにかあったら
 相談してね」

くるみは振られたにもかかわらず
優しく俺の心配をしてくれる。

くるみは日に日に痩せていく。
それは俺のせいだといやでも思ってしまう。

おれとしてはくるみのほうこそ心配だけど
振った身としてはあまり関わりすぎては
いけないと思っている。

5限が始まる。眠さのピークを迎える。
今日は病人みたいな面をしているらしいから
それにかこつけて保健室へ行ってみようと思う。

「先生、ちょっとしんどいので保健室に行ってきまーす」

くるみが心配そうに見つめてくる。
本当に心配している時の顔だ。
でも俺が寝不足なのは好きな人がくるみからシルさんに
変わってその人を追いかけ回しての結果である。
くるみに心配されればされるほど
俺の心は苦しくなる。

「橘先生、体調悪いんでベットで寝かしてくださーい」
ノックもせずに保健室のドアを開けながら声をかける。

「相原、いまベット全部埋まってるんだよ。
 どうしてもというなら男同士の相席だな」

「ありえないっすよー、わかりました。
 屋上でのんびりしてきまーす」

「それなら文芸部の部室なら誰もいないはずだから
 そこで寝てたらどうだ?」

「たしかに、あそこ部員1人すもんね。
 屋上で物足りなかったら部室に行って
 寝ておきまーす」

「お家に帰るのも手だぞ。無理するなよ」

俺は保健室の扉を閉めようと室内を向いたとき
橘先生の後ろ姿が見えた。
白衣がグラマーな先生にピタッとくっついている。
パンティラインが見えない。
まさか!と思ってしまう。
あの日の夜以来シルさんも履いているTバックのことが気になる。

「せんせ~い、白衣の後ろ姿がエロいっす。Tバックっすか~?」

変態に思われすぎないようにちゃらけて聞いてみる。

「おう。そうだぞ。男子高生には刺激が強すぎたかな。
 そういえば今日はTバックDAYだな。
 午前中に貧血で休みに来た女子もTバックはいてたぞ。
 女子高生のTバックは珍しいからな」

「えっ!だれですか」
とっさに聞いてしまう。

「相原。それは個人情報だ」

橘先生は大胆だが超えては行けないラインは超えない。
たくさんの男子学生は告って玉砕している。

この学校のマドンナ先生は2人いる。
保健の橘奈々先生と国語の七瀬杏子先生だ。

グラマーで男まさりな橘先生と
一見しっかりしてそうに見えるがおっちょこちょいでかわいい七瀬先生。

男子の人気は二分している。

おれは屋上に向かった。
屋上の扉を開けようとすると
外から声が聞こえてくる。

半開きでちょっと様子をうかがった。

声の主は七瀬杏子先生だった。