「俺の生い立ちはこの前話した通りですが………」
「それじゃ、藍原くんの恋愛観でも聞こうかしら」
「いや、それはここでは話しづらいと言うか………」
「あら、私たちは赤裸々に話したのよ。
藍原くんも話すべきでは」
未知さんSSなのか攻め込んでくる。
「俺も別れたばかりで………」
「ごめん、あなたもくるみさんと一緒で
別れたばっかりだったのね」
俺とくるみが付き合っていたことを知らないのは未知さんだけだ。
くるみも杏子先生も気まずさを超えて少し笑いを堪え始めている。
「みんなが家族のこと話してくれたので
俺もまだお伝えしてない家族のことを話します。
じんのがいまお昼寝しているので。
起きていたら話せませんが」
くるみは自分も知らない話だと思い
真剣なまなざしでこちらを見ている。
この話はくるみにもしたことがなかった。
「少しややこしいんですが………
俺が生まれた後、父と母は一度離婚したんです。
俺は母親に引き取られて
父親は次の女性と結婚をしました。
その女性には連れ子がいました。
それがじんのです。
俺はじんのの存在も知らず、関わりもありませんでした。
父親と再婚した女性がすぐに病気で亡くなりました。
じんのは自分の実の母親を亡くしました。
それでじんのは再婚相手であった父親が面倒を見ることになりました。
もともと父と俺の母は離婚をした後も会社を共同経営していました。
仕事に関してはお互いが欠かせない存在だったようです。
母親が世話をする子供の俺と父親が世話をするじんの。
それぞれが別々で育てるというのは
大変ということになり
また再婚することになったそうです。
それでじんのが俺の妹になりました」
「それってじんのちゃんは藍原くんにとって
実の妹ではないってこと?」
「はい、その通りです。
今の父と母にとって、じんのは実の子ではありません。
父も母もじんのには思い入れも少なく、
じんのも実の父と母ではないことをわかっていました。
じんのも義理の親に心が開けるわけもなく
学校でのいじめも重なり心が病んでしまいました。
そして二重人格にもなりました。
精神的な病気で心が幼児化しました。
その時に父と母のことは記憶からリセットされたみたいで
今の父と母を本当の父と母と今では思い込んでいます。
俺のことも実の兄だと思っています。
父と母はやはり血が繋がってないこともあってか
じんのに対しては距離感があります。
だから俺だけでも本当のお兄ちゃんで
いてあげたいんです」
「じょうくん、それでじんのちゃんのこと
本当に大切にしてたんだね」
くるみはおれの行き過ぎたじんのへの過保護っぷりに
少し違和感を感じていたのはわかっていた。
その理由がわかってホッとしているようだった。
「お父さんとお母さんは今はどうしてるの?」
「詳しくは知りません。ここの家をそのまま渡されて
毎月生活費が振り込まれています。
ひと月に1度、父か母に会って状況は報告をしています」
「藍原君、あなたにはなにか高校生では無い
大人びた雰囲気を感じていたけど
その環境があなたをそうさせたのね」
未知さんが優しい口調で話しかけてくれる。
「おれが子供のままだとじんのと一緒に
ここで生活はできませんし」
「変態って言ってごめんなさい。訂正させて。
藍原君は素敵な男性だと思う」
未知さんは照れもせずに言い切る。
「えっ...」
おれとくるみは意外な言葉が出て固まってしまう。
その反応を見て自分の発した言葉を認識する未知さん。
「い、いや、え、えっと...」
顔を赤らめてドギマギした後に下を向いて黙ってしまう。
「未知さんもくるみもおれもみんななにかしら家庭の事情が
普通じゃないことがわかったけど
それでもこれから幸せな人生がおくれれば
それでいいと思う」
「そうだよ。文芸部はみんなで幸せになりましょう」
杏子先生が話をまとめてくれる。
「ちょっと待ってください。杏子先生。
杏子先生の話を聞いてないですよ?」
「私のことは改めて話をするね。
わたしもみんなに負けず劣らずの
秘密をもっているの。
時期が来たら話をするのでそれまでは内緒」
夜の懇親会はこれで終わり、寝る準備に入る。
そこでも事件が起こってしまう。
「それじゃ、藍原くんの恋愛観でも聞こうかしら」
「いや、それはここでは話しづらいと言うか………」
「あら、私たちは赤裸々に話したのよ。
藍原くんも話すべきでは」
未知さんSSなのか攻め込んでくる。
「俺も別れたばかりで………」
「ごめん、あなたもくるみさんと一緒で
別れたばっかりだったのね」
俺とくるみが付き合っていたことを知らないのは未知さんだけだ。
くるみも杏子先生も気まずさを超えて少し笑いを堪え始めている。
「みんなが家族のこと話してくれたので
俺もまだお伝えしてない家族のことを話します。
じんのがいまお昼寝しているので。
起きていたら話せませんが」
くるみは自分も知らない話だと思い
真剣なまなざしでこちらを見ている。
この話はくるみにもしたことがなかった。
「少しややこしいんですが………
俺が生まれた後、父と母は一度離婚したんです。
俺は母親に引き取られて
父親は次の女性と結婚をしました。
その女性には連れ子がいました。
それがじんのです。
俺はじんのの存在も知らず、関わりもありませんでした。
父親と再婚した女性がすぐに病気で亡くなりました。
じんのは自分の実の母親を亡くしました。
それでじんのは再婚相手であった父親が面倒を見ることになりました。
もともと父と俺の母は離婚をした後も会社を共同経営していました。
仕事に関してはお互いが欠かせない存在だったようです。
母親が世話をする子供の俺と父親が世話をするじんの。
それぞれが別々で育てるというのは
大変ということになり
また再婚することになったそうです。
それでじんのが俺の妹になりました」
「それってじんのちゃんは藍原くんにとって
実の妹ではないってこと?」
「はい、その通りです。
今の父と母にとって、じんのは実の子ではありません。
父も母もじんのには思い入れも少なく、
じんのも実の父と母ではないことをわかっていました。
じんのも義理の親に心が開けるわけもなく
学校でのいじめも重なり心が病んでしまいました。
そして二重人格にもなりました。
精神的な病気で心が幼児化しました。
その時に父と母のことは記憶からリセットされたみたいで
今の父と母を本当の父と母と今では思い込んでいます。
俺のことも実の兄だと思っています。
父と母はやはり血が繋がってないこともあってか
じんのに対しては距離感があります。
だから俺だけでも本当のお兄ちゃんで
いてあげたいんです」
「じょうくん、それでじんのちゃんのこと
本当に大切にしてたんだね」
くるみはおれの行き過ぎたじんのへの過保護っぷりに
少し違和感を感じていたのはわかっていた。
その理由がわかってホッとしているようだった。
「お父さんとお母さんは今はどうしてるの?」
「詳しくは知りません。ここの家をそのまま渡されて
毎月生活費が振り込まれています。
ひと月に1度、父か母に会って状況は報告をしています」
「藍原君、あなたにはなにか高校生では無い
大人びた雰囲気を感じていたけど
その環境があなたをそうさせたのね」
未知さんが優しい口調で話しかけてくれる。
「おれが子供のままだとじんのと一緒に
ここで生活はできませんし」
「変態って言ってごめんなさい。訂正させて。
藍原君は素敵な男性だと思う」
未知さんは照れもせずに言い切る。
「えっ...」
おれとくるみは意外な言葉が出て固まってしまう。
その反応を見て自分の発した言葉を認識する未知さん。
「い、いや、え、えっと...」
顔を赤らめてドギマギした後に下を向いて黙ってしまう。
「未知さんもくるみもおれもみんななにかしら家庭の事情が
普通じゃないことがわかったけど
それでもこれから幸せな人生がおくれれば
それでいいと思う」
「そうだよ。文芸部はみんなで幸せになりましょう」
杏子先生が話をまとめてくれる。
「ちょっと待ってください。杏子先生。
杏子先生の話を聞いてないですよ?」
「私のことは改めて話をするね。
わたしもみんなに負けず劣らずの
秘密をもっているの。
時期が来たら話をするのでそれまでは内緒」
夜の懇親会はこれで終わり、寝る準備に入る。
そこでも事件が起こってしまう。