それから私の日々はめまぐるしく過ぎていった。
まず、正式に蛇塚の家を出た。
伯父と伯母には改めて今まで育ててもらったお礼をし、九竜家に嫁ぐことになったことを報告した。
特にかけられた言葉はなかった。
私の荷物は旅行鞄一つで事足りてしまう程、少なかった。
ここは私の居場所ではなかったのだと、改めて思い知る。
「(伯父さんと伯母さんが引き取ってくださったことには感謝してる。でも、きっともう会うことはないのでしょうね…)」
最後に一礼し、私は蛇塚の家を後にした。
後ろ髪を引かれるものは何もなかった。
それから九竜家に住まわせてもらうことになった。
青人さんは実家ではなく、二人で住む場所を探す予定だったみたいだけど、お母様の体調がよろしくないと聞いたので実家に戻ることになった。
お母様は元々体が弱いのだそう。
ここ最近は体調を崩すことが多いそうで、それもあってお父様は青人さんに結婚して欲しかったみたい。
…でも、本当は青人さんにただ戻ってきて欲しかっただけなんじゃないかと思う。
まだ青人さんとお父様の間にわだかまりはあるみたいだけれど、少しずつ解消されていったらいいなと思う。
「お父様、おはようございます!」
「おはよう。朝から精が出るね」
「はい!今日はいいお天気なので、お洗濯日和です!」