静かな空間に2人、手を引かれ繋がったままの手。


無音のはずの空間は私の胸の鼓動をやけにうるさく感じさせた。




「…っ」

「なに」





繋いだ手を離そうと動けば逆にぎゅっと捕まえられる。

胸が締め付けられて死んでしまいそうだ。




「手、」



「離したらどうするつもり?また逃げんの?隠れんの?」





棗、怒ってる。

なんでか分からないけど、声がいつもより冷たく感じた。





「俺が何言いたいか、分かってんじゃないの」


「…え」





体育祭のことなら、触れないで欲しかった。



もっとちゃんと、自分の口で告白するつもりだった。

ちゃんと棗を振り向かせてから、ロマンチックに。




あんな形でバレてしまって、1番混乱してるのは私なんだ。




「はぁ…俺お前のこと分かんねえよ」




棗のため息が重くのしかかる。




自分はそんなに弱くないはずなのに、嫌われたんじゃないか呆れられたんじゃないかと不安で涙が滲んだ。




それを棗から隠すように、必死に俯いて顔を隠す。


そんな私を棗がどんな顔で見てるかなんて、分からない。