この役は、いつもランダムに決められる。

 大したことではないけれど、皆の前で何かをすることは基本気恥ずかしい。

 それも、こんなよくわからない呪いをするのだから尚更だ。

 私は渋々、生徒たちの列から前に出ると浜田から何の変哲もない黒い紐を受けとる。

 そして、適当に近くにある木を選ぶと背伸びをしながら枝にその紐を結ぶ。

 一瞬、二度とほどけないようにしてしまえばこの呪いをしなくてもすむようになるかもしれない。と、固結びという小さな抵抗が頭を過ったけれど、それすら面倒で結局は他の子たちがしていたように蝶々結びをして速やかに列に戻った。