「いつか未来に戻った優花殿が、私の名を見つけられるように精進せねばな」と、皇子は小さく笑う。

 今は目の前で生きていても未来に戻った瞬間、皇子は過去の人になる。

 __死んだ人になる。

 私からしたら、もともと死んでいる人なのに。目の前にいるのは、幻だと言っても過言ではないのに。

「優花殿、あれを見よ! 不思議な形をしておるぞ!」

 そうやって雲を指差し笑う皇子は、生きているから。この瞬間は、私と同じ。血の通った人間だから。

 どうしても想像しては悲しい気持ちになってしまった私は、これ以上未来の話をすることはできなかった。