距離からしたら大したことはないはずなのに、心理的にはやっとの思いで歩いていると閑静な住宅街の先に目印の神社が見えた。

 だけど神社に寄るのは帰り道。 だから今は境内の横を通り過ぎると、脇道を進み 阪和自動車道(はんわじどうしゃどう)の高架下を歩く。

 本来ならそこから五分程度で目的地に辿り着くはずなのだが、浜田は途中で必ずある(まじな)いを行う。

 そして何度も聞いた蘊蓄(うんちく)を語りだす為、時間にロスが出るのだ。

「坂口。今日はお前が結べ」

 思わず顔をしかめる私に、周りから憐れみの視線が注がれる。