__過去と未来。

 同じ日本なのに、服装から食べ物からこ生活様式から。全てがこうも異なるものなのか。

 関心しながら、歩きだす皇子の後ろをついていく。お散歩と言っていたから、屋敷の外にでも行くのかと思ったら私が最初にこの屋敷をさ迷ったよりも、狭い範囲内を歩く程度。

 少し歩いては花を愛でて。少し歩いては空を仰ぐ。どこかの老夫婦のような散歩だけれど、その瞬間の光景をしっかりと噛みしめながら歩くのも悪くはない。

「そう言えば」

 ふと、思い出したことをその背に問いかける。細いけれど、しっかりとしたその背を見ると何故か安心する。

「昨日の着物のことなんだけど」

「キモノ?」

 振り返ると、皇子は首を傾げる。

「白の衣? 昨日、皇子が着ていたじゃない? 私が、汚しちゃったんじゃないかなって」

「ああ。シロタエの衣かの」

 シロタエ?

「案ずるな。汚れてはいない」と、首を傾げる私に向かい皇子が微笑む。