「……私は、もう飽きた」

 こんな自分にも、こんな変わりのない毎日にも。飽きたし、正直疲れた。

 すると、麻美は困ったように笑う。

 この時間だって、歴史に興味のない人間からしたらただの苦行。

 __無駄な時間でしかない。


「寒っ……」


 突然吹いた風に、私は首を引っ込めながらアウターのポケットに手を突っ込む。

 十一月の和歌山は寒い。南部は暖かいけれど、ここ北部は冬になると曇が多いし正直課外授業に冬は不向きだと思う。

「このアウターって、モコモコで可愛いよね」と、さっきから俯き加減の私に気を遣ってくれているのだろう。ニコニコしながら、私のお気に入りの白いパーカーを褒めてくれる姿からそっと目を逸らす。