「それは、誰が考えた?」

 何故か、彼は不思議そうな顔をしている。

 ……誰っていわれても。

「わからない。でも、元号がどうしたの?」

「この国では、父上によって制定された」

「は?」

 ……ち、父上?
 この人のお父さんが、最初に元号をつくったってこと!?

「その父上が崩御された今、元号は定められておらぬ」

「じ、じゃあ、何年なの?」

「658年だ」

 彼の言葉に、気が遠くなる。
 もっと歴史を勉強しておけばよかった。

 頭の中で、できるだけ古い歴史上の人物の名前を思い浮かべる。

 ……卑弥呼?

 いや、それはいくらなんでも古すぎる。そうなると……。

「聖徳太子!」

「……ショウトク……タイシ?」

 え、聖徳太子を知らない?じゃあ……。と、そこで浜田が言っていたことを思い出す。
 
 「聖徳太子」とは、後の呼ばれ方だ。そうなると、今は……。名前名前……。

 ダメだ。出てこない。