「私はアリマノミコと申す」

 絶望している私に、彼はニコニコしながら自己紹介をしてくれる。しかし、またしても疑問が生まれる。

 ……アリマノミコ?

 それって、どんな名前なのよ。
 やっぱり外人さんなの?それとも、有間野巫女さん?いやいや、彼は巫女ではないし。

 ……ならば、ミコちゃんって名前?

 と、一瞬笑いそうになる。
 少し可愛らしい名前に緊張が少しほぐれた。

 しかし言葉も生活も名前すらも変わっているなんて、もうついてはいけない。とりあえず、早くここからこ脱出しないと。

「アリマノミコさん、勝手にお邪魔してごめんね。じゃあ、私は帰るから」

 目をパチクリさせている彼に一方的に別れを告げると、とりあえず出口を探す。

 このお屋敷から出たら、最初に交番を探して家族に連絡を取って……。と、これからのことを考えながら屋敷の脇を抜ける。と、あることに気づく。

「……何。ここ」

 呆然としながら振り返る。
 どうやら私は、とんでもない場所に迷いこんでしまったようだ。