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「みんな、置いて行ったんだ…。」

誰かの声が聞こえた。

「何、悲劇のヒロインごっこ?」

俺は言った。


「…え…!?」

勢いよく振り返って、俺を見た。

「……翔君、だっ…け、?」

カタコトな口調で凜ちゃんが言う。

「うん。翔でいい。」

俺は言った。


「…そですか…。」


昨日、見た時は
こんな大人しくなかったような気がする。


「凜ー!早く、準備しろよなっ!!」

ドアが開いて、真とかいう奴が出てきた。

「…うん。」

そう言って、
さりげなく真の後ろに隠れる。


…男が苦手だったんだったけ?


「あれ…?学校行かない感じ?」

俺を指差して真が言う。

「行くけど。」


「ここの学校、登校時間遅いんじゃない?」

真が言った。

コイツ、絶対馬鹿。