気づいたら、隼人の腕を掴んでいた。


「……凛?」

隼人の手が伸びる。


思わず目を瞑った。


「どうした?」

頭を撫でられた。


久しぶりに感じた。

真以外の男の人の温もり。


「…隼人っ……。」

隼人に助けを求めていた。


1人にしないで。

1人にしないで。


「とりあえず席に着かない?」

隼人が言った。


自分の席の方を向くと、真達がこっちを見ていた。


「…行きたくないっ…。」

必死に首を横に振っていた。


「隼人ーっ!!」

廊下から、別のクラスの人が隼人を呼ぶ。

「あぁ、もう…。
ちょっと、待っててね?」

隼人がため息をついて、廊下に行こうとする。


私は、とっさに隼人の裾を掴んだ。

「行かないでっ…。
…1人にしないでっ…。」

私が涙を堪えながら言った。