┄中庭┄


「蒼太くん、あの…えっと…」


もう、さっきまで小声ですんなり言えたのに、いざ本人を目の前にすると口にできない




私はモジモジしながら、何とか頭の中でリピートする



〈蒼太くん、好きです。だから私と付き合ってください〉って


(早く言うんだ。私)


「ねぇ、君もしかして和香 花音(わこう かのん)ちゃん?」



「あ、はい…」



私が顔を上げると蒼太くんは満面の笑みを浮かべてた




「俺呼び出したのも、和香さんがモジモジしてるのも。もしかしてあれだよね?」




「うん、あのね。私の、こ、告白聞いて欲しいんだ」




何とか勇気を振り絞って口を開いたら




何かを察したのか、蒼太くんは私の顔の前でストップをかけた




「待って、俺から言わせて欲しい」




「えっ!」



さっきまで距離離れてたのに、いつの間にか私の目の前にいた蒼太くん




「和香さん、好きだよ。俺と付き合って欲しい」




「えっ!」




驚いて顔を上げると、蒼太くんからのキスが降ってきた





「ぁっ、」




驚きから声が出なかった






この時は知らなかった



蒼太くんには隠された秘密があるということを