約10年前


「胡桃ちゃんお誕生日おめでとう!!」

あれは、私の誕生日の日の事。

「ありがとう綾華ちゃん!」
「胡桃ちゃんおめでとう!!これ!僕と綾華と拓真からのプレゼント!!」

そう言って3人がくれたのはその時流行ってた
人形。
お守り願いを叶えてくれる人形として流行りだして
欲しかったけど小学生には高すぎる値段だった。


3人がお年玉とかお小遣いで買ってくれたそう。

私はとても嬉しくて
幸せ者だな。ってその幸せを噛み締めてた。

その人形にこの幸せがずっと続きますように。
私が今不安に思ってることは
全部全部思いすごしでありますように。って


ギュッと握りしめた。



「また後でね!!!」と笑顔で手を振る綾華とおばさんにまたあとで!!
と返し

母の迎えが来るのを待った。


だけどそこに来たのは

「胡桃ちゃん!おまたせ。一緒に帰ろう!!」
拓真のお母さんだった。

私が隠してた不安が一気に込み上げてきた。


「おばさん。お母さんは…」


私がそう言うと拓真のお母さんは「忙しいみたいでお迎え頼まれたの!」と言って

拓真と繋いでる別の手で私の手を握ってくれた。

それも強く強く。
まるで頑張れ。と言われてるような。


帰りは至って普通で
「今年も私の家で誕生日パーティしましょうね。」と
毎年恒例の拓真の家で誕生日パーティだ。

綾華と悠真は幼なじみあるあるなのか
家が隣同士でさほど遠くはないから
いつも夜になると綾華と悠真のお母さんたちが拓真の家に来て子ども預けてお泊まり会。

毎年恒例の
もちろんほかの3人の誕生日の時も同じく。


私だけは拓真の家だけど。



家に着くと拓真のお母さんは

「胡桃ちゃん。いつでも家に来ていいからね。」と私を強く強く見つめて言った。


小学一年生とはいえ
そこまで馬鹿じゃない。


この扉を開けた先には地獄が待ってるんだと


よりにも寄って私の誕生日の日に


「大丈夫だよ!ありがとうございます!」
とお礼言って
後でまた行くね!と拓真に笑顔で手を振って

家の扉を開けた。