彼女が小学生になったとき、お父さんは
またプレゼントを買ってきました。

「キャン、キャン」

玄関から鳴き声が聞こえました。

ぼくを抱きしめながら、
ベッドでうとうとしていた
彼女の身体がピクリと動きました。

部屋に入ってきたのは、
箱に入っていないホンモノの犬でした。

ぼくより小さくて、毛色も真っ白でした。

ぼくと違って愛しい声で鳴きながら、
自由に部屋を歩いていました。

彼女はそれを見つけると
「きゃー、かわいいっ、かわいいっ」
と何度も繰り返しながら、

ホンモノをずっと抱きしめていました。


それから、、、
彼女の隣にはいつもホンモノがいました。

ぼくの居場所は、
タンスの上に変わってしまいました。

二人が仲良くしている、
その光景を上から眺める毎日でした。

でも、彼女の笑い顔を見ているだけで、
ぼくは幸せでした。