同じ退役兵の
グループカウンセリングの仲間を前に、
ローズは号泣し、訴えた。


「娘を抱きしめられない理由、
 それは…。


 もしも、
 可愛いと
 思い抱きしめた瞬間。

 私が
 こころを開いた瞬間に

 娘が

 私の腕にもし
 噛み付くような事
 が、あった時に私はっ

 娘になにをして、しまうのか?

 わからないから!


 あの時のようにーっ!!」




「私もしたワ、きっと。」

 それを聞いたローズは
情けなさそうに、
それでも少しだけ明るい顔で、
笑った。




 ある日。

「マム!!」

 メリーアンが
学校から帰るなり
家に飛び込み叫んだ。


 合唱コンクールで
ソロを歌える事になった、
という事だった。

ソロと言っても、もう一人の、
余り気の合わない男子と、
デュエットらしいが。


「何を考えてるか、わからない。」
とプリプリしつつも、
相当気分はよい、
様子で。

 その晩はいつになく。
陽気に子守唄を歌うメリーアンがいた。


♪oh〜♪baby
 それでも よくみて
 ぼやけた 世界で でも
 変わらないcharming♪


 明るく、
やさしく歌うメリーアンに

(一人で、
人混みへ、行けるのだろうか?)


母親なのに。


 ローズは又、
落ち込んでしまった。