その6
ケイコ



まるで陸上のレースに飛び出す直前の心境だ…

気が付くと足の屈伸を繰り返してるし…

「横田さん…。君さ、小学生の頃から、よく紅組の集会来てたよな…」

はは、やっぱりバレてたか…

「はい。紅子さんとは小5の時に出会い、それ以来…」

「そうか!やっぱり。…うん、キミならこの状況でもやれる。頑張れな…」

「ありがとうございます…」

この間も、私は手足の指先をマメに動かし、抹消神経をさかんに刺激し続けてね…


...


午後7時29分ななった…

相変わらず、こっちは4人だったよ

そんで、私の突っ込む敵陣は40人超えてる…

何とも凄いシチュエーションだ(苦笑)


...



「先輩方…、では行きます!」

「…横田さん、土手下まで一緒しよう」

「はい…。私は考えるところありますんで、全力疾走します。いいですか?」

「ああ、オレ達も全力疾走だ。なあ…」

「おおー」

「そんじゃあ、行くぞー、麻衣ー!うぉー!」

私は右手で握ったフェンスパイプをブン回しながら、自慢(?)の長いコンパスフル回転で土手を一気に下っていった…

墨東のお兄さん3人と共に…!


...


亜咲さん…、私は本郷麻衣を許せない!

潰しますよ!

紅子さん、私は守ります…

あなたがこの時代、若い女たちに遺して下さったものを…

テツヤ‥

今夜ここでは、いつもエロくてカッコいいお前の分も戦うぞ!

多美…、お前とはいつも一緒だ

今もな…

そして相川先輩‥

私…、あなたの気持ちを、麻衣のヤロウにぶち込みます!

行くぞー、本郷麻衣ー!


...


私はテツヤのレクチャー通りに敵前に突っ込んだ

土手下に降りた私の前には、ざっと20人が立ち塞がったわ

事前の想定通りじゃん

よし、行ってやる…