その3
祥子



「…静美は全く初耳になるだろうけど、今夜はハナから荒子総長とそのほか、例え一人でも私を潰しに来ると目した矢吹補佐とか熱血あっこちゃんはさ、事前に排除する戦略だったんだ」

私は麻衣が今日、久美と静美に何かを託そうという思いをコイツから感じたよ

なんとなくだけど

と言うことは…

...


「えっ…?じゃあ、昨日の黒沼校襲撃で矢吹さんと湯本さんにケガをさせたのは、”事前”の方針だったんですか?」

ここでの静美はストレートに言いのけたよ

「まあ、それもあったな。特に矢吹補佐はさ、敵なしのズバ抜けた腕だもん。まともに戦って倒せる相手はまずいないよ。仮に昨日、リエのパイプ喰らってなかったら、いくら祥子でも勝てたとは言えない…」

「ああ、自分が言うのもなんだが、もし矢吹さんがぴんぴんだったら、私が敵う相手じゃなかったな」

私は正直に告白したよ、みんなの前で…

ついでに、麻衣には皮肉も付け加えておいた

「…だからこそ、そんな矢吹さんとは正々堂々とやりたかった。勝敗など関係なくな。…だから、今日は気分悪い」

「アハハハ…」

静美以外はみんな笑ってるが、こっちとしては、あのねーってところだよ…


...



「でさ…、総長が戻るの首を長くして待って、南玉の方針を決しようとしてた本体の皆さん方は、噂先行なのに、赤い狂犬拉致・リンチ・骨折の報で、パニック状態だっただろうね。…さらに木戸さんを絡めて、キャビネットの誘い口を匂わせてね…、”そして誰も来なかった”を狙った訳。ところがどっこい、私とタメの1年っ子の中には、熱いのがまだまだいた…」

この辺、私らは事前に大体は聞いていから、まあなんとなくだが、静美なんかは麻衣の話、目が点ってとこだったようだ

「…今、この川原にいる二人は、その先遣を買って来たんだろうさ。この二人がだよ…、墨東の人遣わして、真樹子さんから私の引っ張り出しを取り付けたんだ。これ…、なんでだかわかるか?」

分かる訳ねえだろ、早く言え…

私は隣の麻衣に目で訴えた

コイツ、は私の目を察したのか、すぐに答えたよ