その1
真樹子



さあ…、主だった者で最終の申し合わせよ

「祥子、久美…、それに静美…!ここに来てー!」

麻衣さんを入れて5人…

この後の火の玉川原決戦での、各人役割分担とその段取りをね…


...


5人は折り畳みのイスに掛け、輪になった

と思ったら…、静美だけ座らずに椅子の後ろで突っ立ってるわ

「静美、なに突っ立ってるのよ。掛けなさいよ」

まずは私がそう一声かけてね

「あのう…、私もいいんですか…?」

「そうだよ。今夜のこれからは、この5人で仕切る。さあ、久美の隣に早く座れよ」

「はい…」

アハハハ…

麻衣さんって、こういう細かいところでも実に気が回るのよね

「ああ、静美…、ちょっと待って。イスに砂がかぶってるから…」

そう言って久美が砂を払ってるわ(笑)

「ありがとう、久美さん…、」

はは…、私の隣の祥子が今にも吹き出しそうだわ


...


「…とまあ、こんな具合になると思うんだけど、その後の展開は読めない。私が戦ってる時はさ、何しろ現場の采配は祥子、そんで墨東の見届け人と向こうサイドとの細かいやり取りは真樹子さんでね。久美はその間を往復して二人をつなげ」

「了解した」(祥子)

「わかったわ」(真樹子)

「私も承知したよ」(久美)

「うん、頼む。今日集まってる他の連中は、主に真樹子さんのかき集めた予備隊だから、所詮は頭数に過ぎない。戦いの状況によって何らかの混乱が生じたら、さっさと引き上げさせてくれな。仮に警察とかが介入してきて、もたもたしててパクられでもしたらマズイでしょ。今日はその仕切りを、静美に担ってもらう。いいな」

「はあ…。でも、その中には先輩もいっぱいいますし…。私じゃあ…」

「バカか、お前は。これからここが戦場になったらだよ、統率の権限を持つ者は年上だろうが先輩だろうが、自分の指揮下なんだから遠慮なんぞ不要だっての。ドッグス使って、ビシビシやってやれ!まあ、今日は祥子の指示で動けばさ、だいたいは収まると思うから」

「はい…」

「大丈夫だよ、静美なら。頑張ろう、お互いに…」

久美と静美を見てたら、私も笑いをこらえるのがつらくなってきたわ(苦笑)


...



「…祥子、とにかく私のことは二の次でいいから、この場の人間をきれいさっぱり引き上げさせるのを最優先で頼む」

「ああ、任せとけ。…だがよう、その際、向こう側は一切関知なしでいいのか?南玉とか紅組とか…、これからいろいろ集まってくるだろうし…。状況によっちゃあ、凄い人数になると思うが…」

「向こうは放っておけばいい。それに、私の勝負がつく前にはそう大勢は来ないと思うから」

「なんでだ?」

はは…、祥子の疑問はもっともだよ

麻衣さん、ここでみんなに話すようだ