その7
夏美



「あっこ!」

「湯本さんー!」

「…鷹美は、津波に昨日痛めた肩をやられて…。その体で…、火の玉に向かってます…!私には一旦、ここへ戻って…、みんなを連れてくるようにって…、それで私…」

あっこはまさに息も絶え絶えで、立ち上がることもできない状態だったわ

昨日、迫田にケガを負わされた体を承知で、本郷のヤツ、二人にドッグスをぶつけてきやがって!

本郷!

お前は、鷹美とあっこが火の玉に向かってくるのを承知していた

だからなんだろう!

加えて荒子が現れなければ、南玉の主だった主力は誰も来ないと見込んで…

何と卑劣な!

私はもはや、本郷への怒りと憎悪で体が燃え上がりそうだった


...



「…みんな、鷹美とあっこの気概を仲間としてどう捉えるの!私たちの南玉を潰しにかかってる連中に屈するなんて、私はそんなのごめんよだって!」

「私も火の玉に行きます!」

「私もー!」

みんな…

何人かが呼応してくれてる…

私はそれだけでうれしくて涙が溢れてきたよ…


...


「じゃあ…、行くから、いずみ!」

「仕方ありませんね。あくまで私は、組織としての決を優先せねばならないのが自分の立場だと考えていますんで…。その前にってんなら、私は行けません」

ここで決まった…

南玉は空中分解だ

しかし、それより優先すべきことに”私達”は行動する…