その8
真樹子



「久美ー、危ないからこっちの真ん中に入ってなさい!」

「はいー!」

こりゃ、ハンパじゃないって…

リエが太鼓判押すだけあるわ、片桐隊…

私らからしたら、この人達、サーカス団だよ…


...


ブブブーン!ブブーン!ブブブーッ…

ブイーン、キュキュキューッ…!

終わったのか…

「真樹子さん!」

「岩本さんー!」

「終わったんですか?」

「…そうみたいね…」

いやー、それにしても凄かったわ…


...



「久美、今時間は?」

「6時15分です…」

「そう…、まあ足止め完了は果たしたか…」

しばらくすると、片桐さんが後方から徐行でこちらへ到着した


...


「片桐さん!…お疲れ様です。終了ですかね?」

「うん…。結局あっちは全員、火の玉に向かったわ。私たちもここまでが限界だった。大丈夫かしらね?」

「はい。今からなら火の玉には8時近くでしょう。他の手も打ってますから…。何とかクリアですよ」

「そうか…。はは、よかった。肩の荷が下りたわ」

片桐さん、何とも晴れ晴れした表情だなあ…

「久美、アンタもご苦労さん」

「いえ…、私なんか、邪魔にならないように避けてただけでしたから…。でも、目が回っちゃって…」

「アハハハ…」

片桐さんたち、大笑いしてる…

...


しばらくして片桐さんの部隊は引き上げたわ

さてと…、久美に切りだすか

「久美、これからアンタには行ってもらいたいところがあるのよ」

「火の玉川原の前にですか?」

「そうよ。排水路沿いの例の廃倉庫にね」

「はあ…」

わあ…

何もわかってないなあ…、この顔…


...


「真樹子さん。じゃあ、廃倉庫行ってきまーす!後ほど火の玉で…、またよろしくお願いします!」

「ああ、頑張って、久美…」

行っちゃった…

何も知らずに…

ふう…、なんか憂鬱だわ