その2
ミキ



正直、口ではジュンさんに勝てない…

つい感情を表に出してしまったわ

メンバーもそんな私の焦りを察して、相手を非難する言葉を先にぶつけた…

「私たちは何も、全部同じ考え方を持とうなんて思ってないわ。実際に麻衣は相和会を使ってるし、やり口も汚いさ。それは認める。でも、あの子たちの行為によって何が見えてきた?南玉の昨日の醜態は何よ!所詮、バラバラだったんじゃない。はっきり言って、紅子さんの赤塗りの理念から外れていたわ。その点について、違うって言うんなら理由を言ってみて!」

「…」

”何だ!何も言えないのかー!”

”紅組宗家気取りの南玉こそ奢っていたのよ!”

”各県の後続グループは、そこをよく見抜いていたわ!”


...



ええ、確かに南玉連合に奢りはあったわよ

でも、女性主導組織の先頭に立って、大所帯になって、様々な矛盾と向き合った来たんじゃない

その功績はどうなのよ!

私の心の中では次々と異論が現れたが、口からの言葉としては出せなかった…

情けない…


...


「…片桐さん!そっちの言い分はミキさんだって全部承知してるさ。どっちがいい悪いじゃないんだから、お互いの主義主張を相手に認めさせる言い合いなんか、この期に及んでは無意味ですよ!」

南部さんだ…!

「南部君、あんたね…、紅子さんの赤塗りに理解を持ってくれてた事には感謝してるよ。…でもよ、この局面で口出す立場じゃないでしょ。南玉の相川と通じてて、公私混同はいい加減やめて!」

「片桐さん、今更レベルの低い揚げ足取りは何もなりませんからスルーさせてもらいます。…いいっすか、紅丸さんがいなくなれば、あなたが言ったように、今までどおりは絶対無理でした。だから、変えるべきことは変える。ここに紅組は異議ありませんて。だが、本郷らが今やってることは、明らかに若い女性の希望の光であり続けた南玉連合を、まずぶっ潰す行いですよ」

”その通り!”

パチパチパチ‥

「…しかも、あなたが認めたとおり、とても高校生とは思えない狂気じみた手段までいとわぬで、まさにやりたい放題だ。断じて許せない。そこだけは譲れません。それを見過ごさないのは、俺たちにとっても責務だと思っている。その本郷と相対する我々に立ちはだかるんであれば、その一点を以ってそちらを駆逐する。その鉄の意志だけは、何があっても曲げることはできません」

”そうよー!南部さん、よく言ってくれたわ!”

”本郷みたいな悪魔に魂を売った一点でアウトよ、離脱組は!”

みんな…

南部さんの発言で片桐さん側はうろたえてる

そうね、南部さんの論の通りだ

難しいことは抜きで、まずあの本郷のやり口よ

さすが南部さん…

相手のアキレスけんを心得てるわ