その2
多美代



こういった時のおけいの頭の切替えは実に早い

「先輩‥、では、”部外者”の私はやはり一足先に向かいます。そんで、本郷には南玉連合は屈しない。全員がここに来て戦うと宣言します。いいですか?」

「…いや、荒子が仮に拉致されてて、主だった幹部不在の今時点じゃ、私がそれでいいとは言えないって。アンタ個人が宣言するとこで留めといて欲しいわね」

「先輩!」

私は思わず先輩に詰め寄った

「多美、もう少し待ってろよ。鷹美たちはもうすぐ来るんだからさ」

恵川先輩は譲らなかった

おけいと私は顔を見合わせて、互いに心の中でため息をついてるってとこだったな

その時…

勢いよく倉庫内に冴木ひとみが飛び込んできた…


...


「みんなー、大変だよー!」

さえ…!

「冴木、どうした!」

恵川先輩が真っ先に入り口まで駆け寄って、さえの両肩を両の手でがしっと掴んで問いただした

他のメンバーも一斉にさえに視線を集中させていたし…

今度は何が起こったんだって!

みんなそんなとこだったろう

何しろこうも立て続けじゃ、どうしたってネガティブになるよ


...


「矢吹先輩と湯本先輩が…」

「鷹美とあっこがどうした!」

恵川先輩、もう怒鳴ってる…

「ドッグスが…、元レッドドッグスのメンバーが向かってきて…」

「!!!」

もう一瞬でその場は氷りついたよ…

おけいと私、それにアカネの3人は、同時に互いに顔を向け合い、瞬きを忘れて固まっていた…