麻衣を触媒とした猛った少女女たちの情念は炎上の時を迎え、火の玉川決戦はついにカウントダウンに突入。総力戦が始まったのを見届けた麻衣は、拉致監禁した南玉連合総長の合田荒子の下に急行…、非情の刃を向ける…。



その1
多美代



午後6時ちょっと前…

南玉連合のみんなのところに戻ったんだが…

「恵川先輩!一体、どうなってるんですか?」

「ああ、多美…、わかんねーよ。荒子が拉致られたって噂がどんどん広がってるんだ。まだここに来ていないメンバーも、みんな腰が引けてて、はっきりするまで自宅待機とかってぬかしてるしよう、全く!」

その時、のん子先輩が倉庫に入ってきた…

「いづみ!真澄先輩がつかまったわ。30分くらいでここに来るそうよ!」

「そうか!なら、先輩が来て、それ次第だ。あと、鷹美とあっこはもう向かってるんだよな、こっちに…」

「はい。一緒に出てるそうです…」

よし、まもなく幹部は全部そろうぞ

そしたら、荒子総長不在でも方針を決してもらわないと…

ところが…


...


「多美、待ってる時間ないよ。たとえどんな状態になろうとも、火の玉には乗り込むのみ。それを今確認しないとさ!」

私が思ってことを見透かしたように、おけいのヤツ、そう小声でせっついてきたよ

その切迫感は伝わったし、まあ確かにってとこだわ

「ああ…、そうだな。じゃあ、一緒に恵川先輩と高津先輩に談判するか…」

「うん…」

私とおけい、それにアカネは両先輩の前に進んだ


...


「…先輩、この状況では、皆さんの到着を待ってそれから諮るんじゃ間に合いません。仮に総長不在でも、今、火の玉に殴り込む方針を皆に宣言しましょう」

「多美、そういう訳にはいかないぞ。荒子が戻れるかどうかわからない状況となりゃ、話は別だって。昨日で南玉は事実上割れてんだぜ。…ここで私が勝手な決定してみろ。鷹美たちによう、またごちゃごちゃ言われるって。のん子はどう思う?」

「…私も3人の到着後にすべきだと思う。多美、アカネ、もうじき着くはずだから、それまで待とうよ」

「しかし…」

私は隣のおけいに目をやった

おけいは私の気持ちと立場を察してくれたようだった