その4
ケイコ
こんなこと…!
悔しいし、こっちの言い分なら、いくらでもある
だけど、ここのことろを自分に都合よく終わりにしたら、私は、あいつらが見立てた通りの女のままってことになる
言い難いほど屈辱的だが、自分のいたらなかった”それら”は認めるさ
この段階までたどり着くと、窓の外はすでに明るかった
...
私にとっての”次”は、テツヤのことだった
昨夜のショッキングなテツヤの姿…
だけど、少なくとも裏切られた怒りとか、軽蔑だとか、落胆とかはなかった
悲しい気持ちはあったが、不思議と、わかりきってることを見ただけだと捉えられたんだ
いや、私の行いによってそれ、突きつけられたと…
だから、結局は私がそれを現実として、どう取り込むのか
その選択ということじゃないのかって…
ここまで自分を持ってきたところで、くじけた
涙がまた、洪水のように溢れてきたんだ
私は相乗的に声をあげ、全開となった涙腺を激しく刺激した
枕、アッという間にびしょびしょだし…
...
その後も眠ることを受け入れず、時計の針は朝6時を間近にしていた
この顔、ふざけんな!
全部洗い流してやるぞ…
だが…
1階の洗面所に下り、顔を洗ってはいるが、タオルで顔を拭き取るそばから、湧き出る涙は顔が乾くことを許さない
クソッ!
止まれって!涙!
蛇口からジャージャー流れる水で、私は憎たらしい自分の涙を洗い流すというより、ゴシゴシと剥がしているかのようだったよ
「お姉ちゃん…。あの、おはよう…」
美咲…
おい、ちょっと早いだろ…
「ああ…、美咲、おはよう。悪い、もう終わるから…」
「お姉ちゃん…、昨日、なんかあったんでしょ?大丈夫?」
「おお、大丈夫だ。…って言いたいとこだけどさ…、んなことないよな…。こんな顔、晒してりゃ。はは…」
美咲は寝起き顔で苦笑いしているが、それ、目の当たりの私も涙で腫らした顔で少しだけ笑った
...
「頑張ってね、お姉ちゃん。私、何があったかはわからないけど…」
「サンキューな、美咲。お姉ちゃんは不死身だ。すぐ元気になる。安心しろ!」
「うん。さすがだよ。あのさ…、言いそびれてたんだけど、例のお姉ちゃんのファンクラブ設立の件、友達にはうまく断っといたよ。迷惑だろうと思ったから…」
「ああ、そうか…。ゴメンな、気を使わせて…」
私にはピンときたよ
美咲はその件、まだ断ってないとね
いや、断れきれていないと…
...
「なあ、美咲‥。お前さ…、この前、私が最近有名になって、友達から羨ましがられてるって言ってたよな?」
「うん。お姉ちゃんはみんなの憧れの存在だもん。南玉連合を救った凄い人だって。おまけにテツヤさんみたいなモテモテの人を彼氏にしてて、サイコーにカッコいいって。みんな言ってる」
「あのさ…、逆に、そのこと、妬んでる人っていないか?なにさ、美咲のお姉ちゃん、いい気になってとかって…」
「うーん、それはないよ。お姉ちゃんに対しては。直接ってのはさ。でもね、私に向かっては、そんなすごいお姉ちゃんがいるからって、威張るなよって。そういうのはあるよ。お姉ちゃんじゃなくて、私を妬んでるっていうやつはね」
「そうなのか…」
私は今まで、漠然としていたものが見えてきた気がした
...
「美咲、もうひとつ聞いていいか?」
「うん、何?」
「私が南玉連合に入ったとしたら…。もしだけど、そうなったらお前、どう思う?」
「えー?そりゃ、嬉しいよ。お姉ちゃんが南玉入るの、友達はみんな望んでるし。すごく。私も、そうなってもらいたいな」
「なぜだ、それ?」
「友達は、お姉ちゃんが南玉連合に入れば、困ってる人を助けてくれるようになるからって。ちょっと、いじめられてて悩んでる子とかさ、すごく期待してるよ」
「…」
「今の南玉連合の人達、威張ってる感じがして、怖いって。弱い立場の人間を虐げてる人もいるって…、みんなそういう風に思ってるからさ。お姉ちゃんが南玉に入って、先輩になって偉くなったら、変えてくれる、きっとって。私もそう思ってるし。だからさ…」
「美咲‥」
ケイコ
こんなこと…!
悔しいし、こっちの言い分なら、いくらでもある
だけど、ここのことろを自分に都合よく終わりにしたら、私は、あいつらが見立てた通りの女のままってことになる
言い難いほど屈辱的だが、自分のいたらなかった”それら”は認めるさ
この段階までたどり着くと、窓の外はすでに明るかった
...
私にとっての”次”は、テツヤのことだった
昨夜のショッキングなテツヤの姿…
だけど、少なくとも裏切られた怒りとか、軽蔑だとか、落胆とかはなかった
悲しい気持ちはあったが、不思議と、わかりきってることを見ただけだと捉えられたんだ
いや、私の行いによってそれ、突きつけられたと…
だから、結局は私がそれを現実として、どう取り込むのか
その選択ということじゃないのかって…
ここまで自分を持ってきたところで、くじけた
涙がまた、洪水のように溢れてきたんだ
私は相乗的に声をあげ、全開となった涙腺を激しく刺激した
枕、アッという間にびしょびしょだし…
...
その後も眠ることを受け入れず、時計の針は朝6時を間近にしていた
この顔、ふざけんな!
全部洗い流してやるぞ…
だが…
1階の洗面所に下り、顔を洗ってはいるが、タオルで顔を拭き取るそばから、湧き出る涙は顔が乾くことを許さない
クソッ!
止まれって!涙!
蛇口からジャージャー流れる水で、私は憎たらしい自分の涙を洗い流すというより、ゴシゴシと剥がしているかのようだったよ
「お姉ちゃん…。あの、おはよう…」
美咲…
おい、ちょっと早いだろ…
「ああ…、美咲、おはよう。悪い、もう終わるから…」
「お姉ちゃん…、昨日、なんかあったんでしょ?大丈夫?」
「おお、大丈夫だ。…って言いたいとこだけどさ…、んなことないよな…。こんな顔、晒してりゃ。はは…」
美咲は寝起き顔で苦笑いしているが、それ、目の当たりの私も涙で腫らした顔で少しだけ笑った
...
「頑張ってね、お姉ちゃん。私、何があったかはわからないけど…」
「サンキューな、美咲。お姉ちゃんは不死身だ。すぐ元気になる。安心しろ!」
「うん。さすがだよ。あのさ…、言いそびれてたんだけど、例のお姉ちゃんのファンクラブ設立の件、友達にはうまく断っといたよ。迷惑だろうと思ったから…」
「ああ、そうか…。ゴメンな、気を使わせて…」
私にはピンときたよ
美咲はその件、まだ断ってないとね
いや、断れきれていないと…
...
「なあ、美咲‥。お前さ…、この前、私が最近有名になって、友達から羨ましがられてるって言ってたよな?」
「うん。お姉ちゃんはみんなの憧れの存在だもん。南玉連合を救った凄い人だって。おまけにテツヤさんみたいなモテモテの人を彼氏にしてて、サイコーにカッコいいって。みんな言ってる」
「あのさ…、逆に、そのこと、妬んでる人っていないか?なにさ、美咲のお姉ちゃん、いい気になってとかって…」
「うーん、それはないよ。お姉ちゃんに対しては。直接ってのはさ。でもね、私に向かっては、そんなすごいお姉ちゃんがいるからって、威張るなよって。そういうのはあるよ。お姉ちゃんじゃなくて、私を妬んでるっていうやつはね」
「そうなのか…」
私は今まで、漠然としていたものが見えてきた気がした
...
「美咲、もうひとつ聞いていいか?」
「うん、何?」
「私が南玉連合に入ったとしたら…。もしだけど、そうなったらお前、どう思う?」
「えー?そりゃ、嬉しいよ。お姉ちゃんが南玉入るの、友達はみんな望んでるし。すごく。私も、そうなってもらいたいな」
「なぜだ、それ?」
「友達は、お姉ちゃんが南玉連合に入れば、困ってる人を助けてくれるようになるからって。ちょっと、いじめられてて悩んでる子とかさ、すごく期待してるよ」
「…」
「今の南玉連合の人達、威張ってる感じがして、怖いって。弱い立場の人間を虐げてる人もいるって…、みんなそういう風に思ってるからさ。お姉ちゃんが南玉に入って、先輩になって偉くなったら、変えてくれる、きっとって。私もそう思ってるし。だからさ…」
「美咲‥」