作者補足ナビゲート



これまたネタバレの範疇に入りますが、『ヒールズ』のシニアタイトルであり、もともと本作品の原案である『ヒート・フルーツ』オリジナル稿(数十年前より書き溜めてきたパーツエピソード原稿)最初期段階で描く作品の設定では、現在アップ中のいわゆる”ファースト・レジェンド”に大挙登場する猛る女達は”ごく一部を除き、”誕生”していませんでした。


そもそも最初期の本編原案では、基軸ストーリーの時間軸はあくまで『ヒールズ』本編第3部冒頭(ケイコがアキラと千葉の海で出会う場面)から始まります。


そして基本、第1部(進行形時間軸の約1年前前後)で展開した出来事の一部、及び、小学生時代のケイコが紅丸有紀と出会うエピソード(同時間軸の約6年前にさかのぼる、チビッコ撫子二人でひったくり犯を御用するくだり)、麻衣が久美らと共に相和会に連行され、相馬豹一と接見する一連のパーツシーンを回想シーンとして盛り込み、第3部終盤のケイコ&アキラが麻衣の入院する病院で再会を果たすところを結末として描いていました。


従って、”その当時”の設定では、今回連続アップ中の都県境のフレーム再編劇はほんのごく一部しか”存在”していなかったのです。
この一部こそ、麻衣とケイコの火の玉川原での死闘を軸としたその前後ということになります。


端的に列挙すると、火の玉川原でのタイマン後、ケイコが相馬豹一の元に連れられるシーン、麻衣が合田荒子を監禁し金属バットで骨折させるシーンといったところでして、言わば、群像物語として描破したケータイ小説バージョン本編の第1部(約600ページ相当)の起承転結のうち、承と転に相当するストーリーがそっくり空白となっていた訳です。


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これを言いかえれば、群像ストーリーとしてのケータイバージョンは、最初期の設定による基軸ストーリーから1年前に起こったことになる、前述のはじめから着想していた設定をベースに、ぶ厚く肉付けして”群像ストーリー1年前編”を作り上げた形になったと…。


ですので、最初期のオリジナル稿で登場した”猛る女達”は、麻衣とケイコを除けば、なんと紅丸有紀、合田荒子、北田久美、高原亜咲の4人のみ。他に”後の”本田多美代の原型が、ケイコの陸上仲間&荒子親衛隊の一”少女A”として、かろうじて顔を出していた程度でしたから‥。


従って、他の猛る女達はすべて…、岩本真樹子も相川夏美も嵯峨ミキも湯本敦子も三田村峰子もみんな、その後の長い年月の間に書き綴ってきたパーツエピソードのなかで生まれ、比較的近年になってから、彼女らは複雑に派生する相互関係の中で”繋がった”ということになります。


ちなみに、もっとも最近の…、はっきり言えば約3年前に某ケ―タイ小説サイトで初めて本編に挿入したエピソードが10数編あり、今回連続アップ中の『麻衣ロード、そのイカレた軌跡』では、迫田リエの”ヒールズ”泥酔シーン(赤の臨界)や火の玉川原決戦当夜に於けるの真樹子と積田槙二郎 のやり取り(それぞれが賭したもの =今回アップ分)などがそれに相当します。


これらの後付けしたパーツエピソードは、以前の書きおろし分としてストックしていた外伝エピソードと、群像物語としてのケータイバージョン執筆時に起案した新規書きおろしの二通りで、既存ストーリーへの組み込みには、色々と時系列的な面や相互事象のつじつまに矛盾を生じたりして、3年前のケータイサイト版を完結したあとも、繰り返し細かい加筆・修正や編集を積み重ねてきた次第です。


要は、今回の『麻衣ロード、そのイカレた軌跡』アップもその作業を通したプロセスでの、”その都度公開”となる訳で、すなわちここでのアップ分こそ、本郷麻衣を基軸と捉えた角度からの、作者による『ヒールズ』本編の最新解釈を盛った、再編集改訂版ということになります。