その7
多美代



「おけい…、やられた!岩本は積田さんとの直談が無理だと判断して、相和会をひっぱり出してきた。積田さんには手を出さなかったそうだが、合流予定だった高本さんの部隊には相和会が…」

「なんだって!…本郷め、なんてことをしやがったんだ!墨東部隊が岩本の勢力阻止に当てられないだけの打撃を加える狙いだよ、これは!」

ついにおけいが爆発した…

まさに烈火のごとく麻衣に対する怒りをあらわにして、声を荒げていたよ

「…多美、もう奴らの出方を待ってる場合じゃないよ。南玉のメンバーはもう全員集まってるのか?」

「いや、概ね半数ってとこらしい。あと1時間もすれば、のん子先輩の家にある倉庫で全員が揃って荒子総長を待つ段取りだよ」

「よし!これから二人でそこに行こう。みんなにハッパかけて、そこから火の玉川原に私たちが先陣で発とう」

「おけい!」

「もう、戸惑ってる暇はないって。荒子さんは南玉本隊が待ってればいい。まずは、私たちが本郷に宣戦布告するんだ!」

「わかった、行こう!」

私はおけいをバイクの後ろに乗せ、のん子先輩の家へ向かった

「のん子さんとこには30分で着くからさ」

「おお、多美、安全運転で頼む!」

「任せとけ!安全運転でかっ飛ばす!」

私たちはまさに発熱していた…


...



着いた…

「恵川先輩、お疲れ様です!」

「おお、多美…、お疲れ。どうした、自宅待機だろ、お前…」

「まず、紹介します。この子、相川先輩んとこの後輩の横田競子です」

「ああ、アンタが…」

「先輩方、はじめまして。横田です!今日は部外者ですが、本郷麻衣の所業には断固許すまじでの一事で参陣させてもらいます!」

「おー、そうか!何しろ、頼もしいや、はは…。みんな、聞いての通りだ。あの砂垣を南玉に謝罪させたヒーローが助っ人に駆け付けてくれたぞ!」

「わー、横田さん!よく来てくれたわ!」

パチパチパチ…

凄いって!

約半数が揃っていた南玉メンバー一同は、揃っておけいを歓迎だ

何しろ、おけいを一見したみんなの士気が一気に上がったのは、手に取るようにわかったよ

コイツには、そんな求心力とオーラが備わってるんだろうな


...


「…先輩方、もう奴らはやりたい放題です!待ってるばかりじゃ遅れを取るだけです!皆さんは荒子さんが到着した後、火の玉に来てください。その前に多美と私が本郷に徹底抗戦を宣言してきます。場合によってはそこでゴングを鳴らしちゃいます。よろしいですかね?」

「おお、私たちも荒子が戻ったらすぐ駆けつけることになるだろうから…。多美、横田さん、それまで頼むぞ!」

みんな、瞳孔開いてるって…(苦笑)

「恵川先輩、後をよろしくお願いします!」

私は先輩と両手を握りあっていたよ…


...


さあ、行くぞ!

本郷め、まずは私たち二人がお前に挑むからな

待ってろって!