その10
麻衣



私はこの日、改めて思った

我々に同床異夢はないと…

それがあったのは、むしろ南玉連合の方だったのよ


...



南玉は、紅組の理念を広げた実践者を自負して所帯が大きくなったことで、気がつくと派閥覇権が根付いちゃってた

紅組はもともとそれを見越してたから、少数精鋭を貫き通してたんだ

ところがだよ!

紅丸さんの方向性とは異なる赤塗り拡大路線に乗っかったのに、根本を見据えることなく、ひたすら紅組の宗家を気取って、いつの間にか自己矛盾に陥ってたのよ

時代は明らかに女たちの意識を急激に変えて行った

私もそうだが、象徴として旗を振ってくれる存在よりも、自分たちを受け入れてくれる器を求めるようになったんだ

女がやりたいことをできる土壌とかって抽象的なものより、自分たちもバイクに跨り、男に遠慮なしで疾走してみたいと…

荒子さんは、その女たちの望みをシンプルにくみ上げ、何と県外にまで赤塗りを普及する姿勢をぶち上げて、圧倒的なマジョリティーを得たのよ

...


私は思う…

これはごく自然な流れだし、力を持ちうるべきものの素直な感性の体現だったってね

私は、そんな赤い狂犬のイケイケぶりに心躍らせた一人だった

だから周りはどう見ようが、私の根本は荒子イズムの信奉者だよ

しかも極めてコアな…