その7
夏美



午前10時15分…

U駅近くのコンビニ駐車場で、私はミキさんと会っていた

「早い時間に悪いわね。昨夜遅くに南部さんからは、ひと通り聞いたわ。相川さん、あなた…、大丈夫?」

「はい。病院ではさすがにみんなの前で取り乱しましたが、心はまだ折れてません。ミキさん…、今日は大変な1日になると思いますが、ひとつよろしくお願いします!」

「ええ、こちらこそよ。あなたは、何しろ荒子ちゃんよ。今日は…。彼女を南玉のみんなに繋げば、後はみんなで結論を出すわ。もう、南玉内部は見守るしかないしね」

「ええ、今更余分なことは考えず、今日の私は”それ”を第一に…」

私は下唇を噛んで、自分へそう言い聞かせていたわ


...


「とにかく、こういう状態になったからには南部さんの考えがベターよ。片桐さんには正面から宣戦された訳だし、今日の午後、本郷が場所と時間を声明に出したら、そこに向かう。その途で離脱組が立ちはだかるなら、正面から向き合うわよ」

ミキさんも気合十分で、もう迷いはないようだ

この人独特のエンジンも、すでにフルスロットル回転だったし…


...


「…それで、南玉の動きはあっこが私に繋いでくれることになってて…。今のところ、本郷の声明が出たところで、のん子の家の倉庫に集合する手はずになってます。そこに荒子は私が合流させます。一応、ルーカスの駐車場に3時前後には到着する見込みなので、私は早めに行ってますよ」

「お願いね。こっちは南部さんが一緒に行動してくれるようよ。片桐さんにも、思いの丈はぶつけると言ってくれてる。墨東会本体の方は高本さんがね…。積田さんも実際、岩本と面と向かったらどうなるかだけど、この場合はスジの問題から岩本に屈する必要はないしね」

「そうですね。うーん、みんな、それぞれの立場で賭すものぶつけ合う局面なのか…。何しろ、今日は真っ向勝負になるんですね。…ああ、そうだ、ケイコは本田多美代の家で待機することになってます。あの子は”部外者”ではあるけど、我々の同志です‼午後までは多美を中継にして連絡を取り合えますから…」

「そうか…、ケイちゃんもね…」

ケイコの名を出すと。やはりミキさんも胸中が複雑になるようだ…

...



「よし!じゃあ、私は行くわ。頑張ろう、お互い…」

私はミキさんと固い握手を交わした…

紅子さん…、ついに運命の一日が始まりました

土佐原先輩、由美子先輩…

あなた達の残してくれたものは絶対守る覚悟です!4

でも…、今の南玉は絶対絶命のピンチに立っていますよ…

亜咲、それに達美…、アンタたちも見守っててね