前哨までのあらすじ:事実上分裂した南玉連合へ、間断を入れず矢のような追い打ちをかける本郷麻衣…。それを迎え撃つ赤と黒を超越、糾合した既存勢力による、都県境のフレーム再編を巡る決着は最終局面を迎え、猛る女達の長い一日が始まる。そして横田競子もついに、”発熱の果実”と昇華、その中心地へと足を踏み入れるのだった…。


その1
剣崎



その夜…、麻衣からの報告があった

どうやら概ね計画通り運んだらしい

これでいよいよ、明日は麻衣にとってのメインステージとなるな


...


「…会長、こっちも仕込みは抜かりなく済ませました。倉橋は気合が入ってましたよ(笑)。麻衣がお礼を伝えて欲しいとのことです」

「おお…、じゃあさっそく明日、麻衣はやる気なんだな?」

「はい。夜、火の玉河原になりそうです。俺も能勢を連れて行ってきます」

「ああ、頼むぞ。そんでだ、麻衣と本気でやり合う娘で、もし、見込みがあるようならその場から連れて来い」

「わかりました…」

会長の目は一瞬、獣のように光った

この人は感じている…

今の麻衣に匹敵できる少女が仮に出てくるようであれば、それはとてつもない”素材”に違いないと…

...


そしてそんな子が麻衣の前に現れたのなら、そのこととの化学反応をおこし、さらに麻衣は”その先”に進化を遂げる…

会長はそんな期待を秘めてる…

だが…

正直、今の麻衣に対抗できる娘など、まずいないだろう

いかに猛る女の地とはいえ、言ってみれば、そもそも皆健全だ(苦笑)

麻衣のようなイカレた素養は持ち合わせていない

その決定的な麻衣との違いを、少々の腕達者やじゃじゃ馬では、その溝を埋めることなど無理難題というものだよ


...



まあ、明日は麻衣が誰をターゲットにしても、相馬会長の眼鏡に叶う娘など期待はできない

ふふ…、会長は、今の麻衣と張りあえるタマに競わせてみたいんだろうが…

そんな欲が出てくるほど、会長も麻衣の無敵ぶりを認めてるということだ

さあ…、幸い明日は晴天になりそうだしな

色気のない小娘同士のケンカだが、缶ビールでも飲みながら拝ませてもらおう

ナイター気分でな(笑)