「星野さん、入って」


 山本先生がドアを開けてそう声を掛けられて私はドキドキしながら教室の中に入った。


「入学式から一週間。慣れてきた頃かと思いますが、今日から転校生がこのクラスの仲間になります」


 先生がさっきとは違う感じでハキハキと言うと、私の名前を黒板に書いた。


「星野香花さんよ。星野さん、何か自己紹介してくれる?」

「あ、はいっ……星野香花です。香りに花で、かなっていいます。好きなものは、甘いもので特にクレープが好きですっ。よろしくお願いします」


 頭を下げると印象は悪くない感じで、みんな拍手をしてくれた。


「……ありがとう、じゃあ、一番後ろで申し訳ないんだけどあの窓際(まどぎわ)の席に座ってくれるかしら。じゃあ、佐山くん。いろいろ教えてあげてね」

「はい、わかりました」


 佐山くんという男の子は返事をすると私に笑いかけてくれた。私は先生の前を通って窓際の席に座る。