お母さんに封筒は「変な物だったから捨てた」と伝え、私はそのまま風呂に入った。


「ふう…」


湯船に浸かりながら一息を吐き目を瞑った。



『もうすぐだよ、もうすぐ君はこっちに来る』


「っ!?」


また何かが走り、ばっと目を開けた。


「…えっ…今の誰の声?」


そして、知らない人の声も聴こえた。


「疲れてるのかな」


今日は変な事ばかり起きる。


変な招待状と言い幻覚や幻聴…。


「今日はもう早く寝よ」


もう考えないようにしようと、すぐに浴室から上がった。




「唯」


「凛々ちゃん?」


お風呂から上がって自分の部屋へ戻って寝る準備をしていたら、凛々ちゃんもお風呂から上がってきたのか、私の部屋へとやってきた。


「アクセサリー、ちゃんと付けてね」


「あーうん」


お風呂に入る為に机の上に置いていたブレスレットを凛々ちゃんは手にし私に渡す。


「肌身は離さず付けていてね。これはね、唯にとって大事な物だから」


「あ…うん」


お花の飾りとストーンの付いたブレスレットは中学生の時に凛々ちゃんにプレゼントされた物で、肌身離さず持っていてほしいと言われた物だ。


なんで大事な物なのかは教えてくれてなくて、ただ言う事を聞いているだけだ。



「……ごめんね…こんな事になって」


「えっ」


「でも、私があなたを救うから…絶対に死なせたりしないから」


「えっ凛々ちゃん、今何て言ったの?」


最後の方は声が小さくて上手く聞こえなかった。


「ううん、おやすみ」


「うん、また明日ね」


「ええ…」


凛々ちゃんにそう挨拶して、凛々ちゃんは少し悲しそうな表情で私の部屋を出た。



「?」



凛々ちゃんはある時から私に悲観的な言葉を私に述べる事があった。


でもなんだか今日の凛々ちゃんは変だ。


そういえば、あの招待状の中を見てからどうにも変な気がする。


気のせいか。


きっと昔から自分の事に対してそこまで悩んだ事はあまりなかった。


不幸体質もそれが私だから仕方ないと諦めていた。


別に環境が不幸とか生活的に不幸とか健康的に不幸な訳ではなく、ただ少し運が悪い不幸なだけで、楽しく生きているから大丈夫だと思っていたから。