「んん……ん…あ」


「おはよう」


目が覚めると目の前に焔さんが顔を覗かせていた。


「あれ…私…」


そういえば眠気に襲われて、あのまま眠ってしまったんだった。


「?…」


(あれ…ベット)


確かソファで寝ていたはずだったと思うけど。


「ソファだと寝心地悪いでしょ?ベットに移動させたんだよ」


「そう…ありがとうございます」


(……?)


そういえばなんで焔さんはいるんだろう?


「あの、お仕事はいいんですか?」


「ん?ああ、気になって様子見に来たんだよ?」


「えっ大丈夫なの?」


「うん、大丈夫だよ」


「そう…」


焔さんが大丈夫だというのだから、大丈夫なんだろう。



「あの…なんで眠ってしまったんですか?
これも粒子と関係あるの?」


「多分ね」


「…そう」


じゃあ寝ても体や心が休まないのも粒子のせい?



「じゃあ、俺はもう行くね?」


「う、うん」


「退屈だろうけど我慢してね」


「うん…」


言うべきか悩んだけど、お仕事抜け出して様子見に来てくれたから、これ以上無駄な時間を費やしてしまっては申し訳ない。


だから、今は口に出さなかった。


「?」


その時、なんとなく喉に違和感を感じた。


(何? 少し息苦しいような…)


「寝るならベットで寝てね? 何かあるならメイド達に言ってね」


焔さんの言葉に返事しようと声を絞り出そうとするが。


「は…ぃ」


息苦しさのせいなのか、上手く声が出なかった。


「?…どうしたの?」


掠れた声に焔さんは違和感を感じたのか、心配するように聞いてきた。


「息…が…うま…く…できな…くて。…コン…コン」


これも酸素濃度とかの問題で過呼吸を起こしているって事なんだよね。


だったらあの薬を飲めば…。


「あ、あの…薬…を」


「ああー薬は…」


焔さんはなぜか躊躇しているのか、薬を出そうとしてくれないでいた。


「えっ…」


「あの薬は続けて飲むものじゃなくて、強めの薬だから副作用が出るんだ」


(そうなんだ…)


そうは言われてもどんどん呼吸の苦しさが増していっていた。