「人間いるんだ…」


「行きたいの?」


「えっ行けるの?」


「まあ」


そこへ行けばもしかしたら帰り方とか分かるかもしれない。


それか聞けるのかも。


「地下街に行けば会えるよ」


「地下街?」


(地下街って確か…駅中の地下とかにある商店街だよね)


「要するにスラム街とも言われる場所だよ」


「えっ」


「言ったろ? 収容されてるって…。
ここじゃあ、生身の人間の扱いなんて奴隷と同じだよ。行きたきゃ行けばいいけど、心と身体が壊れるし汚されるよ? それでもいいならね」


「壊れるって…」


「分かるでしょ?」


「っ…あ」


もしかして…私が宴や街の人にされそうになった事をされているとそう言いたいんだ。


「なんで…」


「生身の人間は利用されやすいし扱いやすい。そして、何より弱いからね。そもそも人間は獣には勝てないんだよ。それは遥か昔から言われてきた事だから」


「遥か昔…」


確かに大型の動物には勝てないかもしれない。


けど、そんなのあんまり過ぎる。


「でも、どうやって人間はここに…」


「本来ならここには来れないんだよ。この辺りはね生身の人間ではない国が幾つも存在していて、結界の境界線があってね、だからお互いに入る事もできないようになってる。でも時々結界がブレる事があってそのせいで入ってしまった生身の人間を捕まえられる事もよくある。だから…収容されてる人はほとんどそういう人らだ」


(じゃあ…私は。…あれ?)


どうやってここに来たのだろう?


疑問が謎がどんどん膨らむ。


そもそもこの世界は私が知っている世界じゃない。


言葉とか通じてるけど全然違う。


「私は…どうやって…」


「唯架ちゃんは…この世界の者じゃないから」


答えになってないのだけど。


(ていうか、答えて貰ってないけどなんで名前知ってるの?)