ようやく離してくれたけど、なんだろう頭がぼーっとする。


うまく頭が働かない。


「焔様! あなた今何したかお分かりですか!あなたには婚約者がいるんですよっ」


「あーもう…うるさいな。ほら、帰るよ」


「えっ焔様…何を…ちょっと待ってください。その子も連れて帰るんですか?」


「当たり前だろ? 俺の奴隷だもん」


「いやいや…旦那様に何を言われるか」


「大丈夫だって」


「大丈夫じゃないから言ってるんですよ!」


「……」



(あれ…なんか…地面が見える。それにぬくもりを感じる)


ダメだ…意識が途切れそうだ。


でも、はっきりしない中 声は聞こえていた。


「あーそうだ…1つ言っておくけど、あの宴に参加するのは自由だけど、でもある意味神経疑うけどね。
それを承認している政府にも問題だけどね」


「………」


何か否定するような声が聞こえた。


どこか移動し始めたのだろうか。


歩くような動きを感じた。


(ああ、でも…もう無理)


意識が途切れる前に聞こえたのは、私を襲ってきた人達の声だった。



「うわー焔様が現れるとかねえよ」


「つーか、なんでこんな下町にくんの?」


「ていうか宴で見たんだけど、イベントには参加してなかったんだけど」


「はあ何それ? 参加してくれたらいいのに」


「つーか、あの人効かないじゃん」


「今まで生身の人間が襲われても、助けた事なかったのになんで今回に限って助けたんだよ」


「わかんねーよ」


「普通に俺らの事ディスってるよな」


「まあ、俺達の娯楽なんぞお高いあの人達にはわかんねーよ」