本当に何事もなかったかのように終わっていく。


そもそも私がこの宴に招待された理由とはなんだろう。


それがそもそもの謎だ。



「やほー」


「わあ」


背後から突然誰かが声を掛けてきた。


「あ、お姉さん!」


「どうだった? 楽しめた?」


「どこがですか?」


「でしょうね」


からかわれた言い方をされて、少しムッとなった。


「でも、ちゃんと逃げ切れたのね」


「まあ、助けてくれたというか、入れてくれたというか」


「そう。どちらにせよ捕まえられたとしても、あなたは襲われなかったから安心して」


「そうなの?」


「ええ」


(何それ…)


「でも、怖い目に遭うのを我慢しなきゃだけど」


(結局、遭うの?)


それじゃあ、意味ないじゃない。


「でも、次はそうとはいかないから、我慢しなきゃね」


「はっ?」


今、お姉さん…爆弾発言的な事を言わなかった?


「さあ、お着替えしましょうね」


そう言ってお姉さんは人気のない場所へと連れて行き、また突然と衣装部屋が現れた。


「お姉さんは襲われなかったんですか?」


「ん? ああ、私は参加してないから」


「あ、そうなんですね…部屋にいたんですか」


「ええ」


この人もおそらくあの人と同じ特別な人なんだろう。


しかし、参加もしないのになぜいるのか謎だ。


そもそもあんなのに参加したい人って、絶対イカれてる気がする。


「あの、あの宴って好き好んで参加してる人が大半なんですかね?」


「そうね、嫌がってる人はあなたぐらいじゃない。多分、変態なんだと思うよ」


「そうですか…」


なんかあの人も似たような事を言っていた気がする。



「あ、着替えた?」


「あ、はい」


「髪も解こうね」


ドレッサーの前に座らされて、綺麗にヘアアレンジしくれた髪が下ろされていく。


「綺麗な髪ね。それに、素敵な杏色ね。表現としてはミルクティーにオレンジを入れた感じね」


「……」


言い方同じなんだ。


「どうかした?」


「あ、いや外来文字あるんですね」


「そりゃあ、あるわよ」


中華系だから漢字とかそういうのしか使わないのかと思ってたけど、そうでもないみたいだ。